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母が骨折で入院しています。

父を施設に入れた直後から数々の病を発症し、
数え切れないほどの手術に耐えてきました。

心臓、肺、腎臓、尿道、血管、腰、大腿骨

文字通り、全身です。

今、病室でテレビも見ません。
ただ、天井を見ているだけ。
時々、身体を動かしてほしいと言うだけ。
好きな食べ物も口にしません。
そんな母に、どうしてそんなことを聞いたのか。

「お母さん、今、何がしたい?」

自分の足を少し横に動かすことさえ出来ない母に
なぜそんなことを聞いてしまったのか。
でも、私の問いに、母はこう答えたのです。

「絵を描きたい」

え?絵?絵を描きたいと言ったの?
母が絵を描いたことはありません。
絵に関心があると聞いたこともありません。
でも、確か、写真を撮りたいと言ったことはあったように思います。
私たち、子どもを撮影した写真を自慢していたこともありました。

親に言われるままに結婚し、夫に従い、
舅、姑に従い、姑が認知症を発症してからは
大好きな仕事を辞めて介護。

姑を見送った後は、父との旅行を楽しみはしたものの
定年退職した父は、その後ややあって認知症を発症。
それでも、明るく、前向きに介護をしていました。

母は、仕事が大好きでした。旅行も。
後悔したくない、できなかったことを誰かのせいにしたくない。
そう言って、時間をやりくりして海外旅行にも行きました。

自由に生きている人だと思い込んでいました。

でも、違う。母は、いつも誰かのために生きていた。
笑っていたから気づかなかった。
母は、本当は何かを表現したかったのかもしれない。
絵でも、写真でも、自分を表現したかったのかもしれない。
だから、「絵を描きたい」そう言ったのかもしれない。

翌日、クレヨンと画用紙を持って行きました。
でも、母は力なく「いい」と言うと、また眠ってしまった。

お母さん。お母さんは、本当はどう生きたかったの?
お母さんは、我慢ばかりしていたのではないの?
私にできることはなかった?

お母さん。元気になって。
お母さんのことをもっとたくさん聞かせて。お母さん。
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